『瑕疵』という言葉、もう使うな。『契約不適合』に統一された

瑕疵について解説するアイキャッチ画像

参考書によって、『瑕疵担保責任』と『契約不適合責任』って書き方が違うんですよ。

「え、どっちが正しいの?」みたいな。(最近の物はだいぶ更新されましたが。。)

調べてみたら、実は理由がある。民法が大きく変わったからなんです。

2020年、民法改正で何が変わった?

昔は『瑕疵』という言葉があった。

建物に雨漏りがあった、シロアリがいた、みたいな「目に見える欠陥」を『瑕疵』って呼んでたんですよ。

でも、2020年の民法改正で、この『瑕疵』という概念が消えた。

代わりに『契約不適合責任』という考え方に統一されたらしい。

「『瑕疵』って何ですか?」と聞かれたら、今は「もう古い言葉ですね」って答えるのが正しいわけです。

改正前(~2019年)改正後(2020年~)
瑕疵担保責任契約不適合責任
「隠れた瑕疵」があるかどうか「契約内容」に合ってるかどうか
物理的欠陥が基準契約書の内容が基準

『瑕疵』と『契約不適合』、何が違う?

昔の『瑕疵』的な考え方

物理的な欠陥があるかどうか。

雨漏りしてるか、シロアリいるか、壁にヒビがあるか。

そういう「目に見える欠陥」があるかないか、それが全部だった。

しかも『隠れた瑕疵』じゃないとダメ。

買主が「知ってた欠陥」なら、売主は責任を負わない。

今の『契約不適合』的な考え方

契約で決めた内容と、実際の状態がズレてるかどうか。

これが全部。

例えば、こういう場合:

床材を「天然木の一枚板です」って説明していたのに、実際には木目をプリントした合板だった。

これ、物理的に欠陥があるわけじゃない。床は床だし、歩けるし、壊れてない。

でも、契約で「天然木の一枚板」って約束したのに、違う素材が使われてた。

これが『契約不適合』。

昔の『瑕疵』的な考え方なら、「物理的な欠陥はないから問題なし」って判断されたかもしれない。

でも今は「契約内容と違う=契約不適合」ってストレートに処理される。

具体例で比べてみる

ケース1:雨漏りがあった場合

改正前(瑕疵担保責任)

建物に『隠れた瑕疵』がある。雨漏りという欠陥。

だから『瑕疵担保責任』で対応。

選択肢は2つ:

  • 修復する
  • 解除して返金

改正後(契約不適合責任)

契約では「通常有すべき性能を備えた住宅」として売ったのに、雨漏りで性能が欠けてる。

つまり『契約不適合』。

選択肢が4つに増えた:

  • 修復してくれ(追完請求)
  • 代金を減らしてくれ(代金減額請求)
  • もういいから全額返して(契約解除)
  • 損害賠償くれ(損害賠償請求)

買主が選べる手段が増えたんですよ。

ケース2:天然木の一枚板なのにプリント合板だった

改正前(瑕疵担保責任)

「これ、瑕疵?」って微妙だった。

物理的には床は床だし、壊れてないし。

「説明違い=債務不履行」として処理するのか、「瑕疵」として処理するのか、判例によってバラバラだった。

改正後(契約不適合責任)

契約書に「床材:天然木の一枚板」と書いてあるのに、プリント合板が使われてた。

これは『契約不適合』。

ズバッと処理される。迷わない。

「代金を減額してもらう」とか、「天然木に張り替えてもらう」とか、買主が選べる。

買主にとって何が便利になった?

選択肢が増えた

請求できること具体例
追完請求「天然木に張り替えてくれ」「雨漏りを修理してくれ」
代金減額請求「合板なら50万円安いはず。返して」
契約解除「もういいから全額返金して」
損害賠償請求「引っ越し代とか、迷惑料を払って」

昔は「修復」か「解除」か、くらいしかなかった。

今は「代金減額」という柔軟な選択肢が増えた。

床材が違う程度なら、「ちょっと安くしてよ」で済ませられる。

「隠れた」欠陥じゃなくてもOK

昔は『隠れた瑕疵』じゃないとダメだった。

「買主が知ってた欠陥」なら、売主は責任を負わなかった。

今は「契約内容と違う」なら、買主が知ってても契約不適合になる場合がある。

「リフォーム済みです」と説明されたのに、実際には一部だけだった、とか。

こういうのも『契約不適合』として処理される。

売主にとっては?

契約書がめちゃくちゃ重要になった

昔は「なんか変だけど、物理的欠陥がなければまあいいか」みたいな曖昧さがあった。

今は「契約書に書いてあることが全部」という考え方。

だから、不動産屋さんも契約書や重要事項説明書に、細かく仕様を書くようになった。

「床材:天然木ヒノキ材 一枚板」
「性能:××の基準を満たす」
「リフォーム内容:キッチン・浴室・トイレ」

こういう具合に。

逆に言うと、契約書に書いてないことは責任を負わなくていいってことにもなる。

「この家、めっちゃ日当たりいいですよ」って口頭で言っても、契約書に書いてなければ、後から「日当たり悪いじゃん」って言われても責任なし。

だから、買主側も契約書をよく読む必要がある。

期間制限も変わった

改正前(瑕疵担保責任)改正後(契約不適合責任)
期間制限知ってから1年以内に通知知ってから1年以内に通知(変わらず)
損害賠償・解除通知から別途期間制限通知から5年または引渡しから10年
瑕疵担保責任 vs 契約不適合責任

📊 瑕疵担保責任 vs 契約不適合責任期間制限の比較

改正前(瑕疵担保責任)
📍 契約を知ってからのカウント
引渡し日
引渡し
瑕疵発見
知ってから
1年以内に通知
通知期限(1年)
解除・修復
通知後、個別に交渉
別途期間制限あり
⚠️ 改正前の特徴: 通知期限は「知ってから1年」で統一。 ただし、実際の損害賠償・解除には別途の期間制限あり(判例や個別交渉に依存)。
改正後(契約不適合責任)
📍 引渡しからのカウント(新ルール)
引渡し日
引渡し
不適合発見
知ってから
1年以内に通知
通知期限(1年・変わらず)
損害賠償
通知から5年以内
時効:5年
解除・返金
引渡しから10年以内
時効:10年
✅ 改正後の特徴: 通知期限は「知ってから1年」(変わらず)。 ただし、損害賠償は通知から5年、解除・返金は引渡しから10年と、明確に期間が定められた。

📋 期間制限の整理表

項目 改正前(瑕疵担保責任) 改正後(契約不適合責任)
通知期限 知ってから1年以内 知ってから1年以内(変わらず)
修復請求 個別交渉・時効あり 通知後、合理的期間内に対応
損害賠償請求 別途期間制限あり(曖昧) 通知から5年以内
契約解除 別途期間制限あり(曖昧) 引渡しから10年以内
代金減額 選択肢なし 通知から5年以内
不適合を知ったタイミング
通知期限(知ってから1年)
請求権の行使期限
時効期間
💡 実務的なポイント:
✓ 通知期限(知ってから1年)は変わっていない。
✓ ただし、その後の手続きや時効期間が明確になり、買主側がより有利になった。
✓ 不適合を発見したら、すぐに売主にメール通知することが鉄則。
✓ 宅建業者が売主の場合は、「引渡しから2年以上」という別ルールが適用される。

期間制限の考え方も少し変わったんですけど、基本的には「知ってから1年以内に通知」は同じ。

ただ、その後の損害賠償請求とかの期間が整理された。

中古住宅を買うときは要注意

新築なら『契約不適合責任』で最低2年間は保証される。

でも中古住宅だと、売主が個人の場合「契約不適合責任を負わない」という特約が付くことが多い。

「現状有姿で引き渡します。瑕疵担保責任は負いません」

こういう特約。

今は『瑕疵担保責任』じゃなくて『契約不適合責任を負わない』って書いてあるはず。

つまり、中古住宅を買うときは:

  • インスペクション(建物調査)を受ける
  • 契約書の特約をよく読む
  • 何が保証されて、何が保証されないのか確認する

これが超重要。

実務的には

宅建の参考書を読んでて「『瑕疵』って書いてある」と思ったら、それは「古い説明」と思って読み直すといいですよ。

新しい考え方では「契約内容と実際のズレ=契約不適合」

それに統一された。

あと、将来、不動産関係の仕事や相続対応をするときも、「瑕疵」という言葉は古い。

「契約内容に適合していない」という言い方で考える方が、現在の法律に合ってる。

まとめ:知ってると中古住宅購入で役立つ

民法改正で、買主の保護がより詳しく、厳格になった。

「契約書に書いてあることが全部」という考え方になったから、契約書をよく読むことが大事。

逆に、売主側も契約書に細かく書くようになった。

中古住宅を買うときは、「契約不適合責任を負わない」特約に注意。

インスペクション受けて、現状を把握してから買う方が安全です。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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