定期借地権って、どうやって設定されるの?【完全実務フロー・契約書付き】

定期借地権について解説するアイキャッチ画像

宅建の勉強してて、定期借地権のとこで「実際どうやって契約するの?」ってずっと疑問だった。

教科書には「定期借地権は期間を定めて…」としか書いてなくて。

  • 誰が期間を決めるの?
  • 契約書ってどんな感じ?
  • 契約はどのタイミングで?
  • 期間が近づいたらどうなるの?
  • 建物はどうするの?

こういう細かいとこ、全然分からなかった。

で、実際の契約フローと契約書を調べたら「あー、そういうことか」ってスッキリした。

特に、大江戸温泉物語とかクロスガーデン多摩とか、定期借地権で閉店したニュース見て「これ、どういう流れで契約してたんだろう?」って思ってたんですよね。

結論:地主が主導、事業者が条件を飲む

答えから言うと:

  • 期間を決めるのは:地主が主導(でも事業者と交渉)
  • 契約するのは:事業者が土地を借りたいと言ったとき
  • 実際の登記手続き:司法書士がやる
  • 期間満了したら:建物を壊して更地で返す

抵当権と似てるけど、ちょっと違う。

パターン1:コンビニが定期借地権で出店する場合

これが一番分かりやすいから、まずこれで説明する。

ステップ1:事業者が土地を探す

コンビニ本部「この駅前の土地、いいな。出店したい」

条件 内容
場所 駅前、角地
広さ 200㎡
地主 個人(代々その土地を持ってる)
現状 更地

ステップ2:地主に打診

コンビニ本部→地主

コンビニ本部「この土地を貸してください。コンビニを建てたいです」

地主「どういう条件で?」

ステップ3:条件交渉(ここが超重要)

誰が主導するか?

基本的には地主が主導

なぜ?

地主の立場

  • 土地は自分のもの
  • 貸さなくてもいい
  • 条件が悪ければ断る
  • 他にも借りたい人はいる

事業者の立場

  • この土地が欲しい
  • 他の土地より立地がいい
  • 条件を飲まないと借りられない

だから、交渉の主導権は地主にある。

でも、事業者も交渉する

項目 地主の希望 事業者の希望 最終的な妥協点
契約期間 20年(短い方がいい) 30年(長い方がいい) 20年で合意
地代 月50万円 月30万円 月40万円で合意
更新 なし できればあり 更新なし(定期借地権)
建物の扱い 解体して返してほしい できれば残したい 解体して更地返還で合意

なんで地主は短い期間がいいの?

理由:

  • 20年後、もっと高い地代で貸せるかも
  • 20年後、自分で建物を建てたいかも
  • 20年後、子供に相続させるかも

なんで事業者は長い期間がいいの?

理由:

  • コンビニ建設に1億円かかる
  • 20年じゃ回収できない
  • できれば30年〜50年借りたい

でも、地主が「20年」って言ったら、飲むしかない。

ステップ4:契約書を作る

誰が作る?

通常は不動産会社 or 司法書士が作る。

実際の契約書はこんな感じ👇

事業用定期借地権設定契約書

契約日:令和7年1月8日

貸主(以下「甲」という)と借主(以下「乙」という)は、下記の土地について、事業用定期借地権設定契約を締結する。

貸主(甲)

住所:東京都○○区○○1-2-3

氏名:山田太郎  ㊞

借主(乙)

住所:東京都○○区○○5-6-7

法人名:株式会社○○コンビニ

代表取締役:佐藤一郎  ㊞


第1条(目的)

甲は、乙に対し、下記土地を事業用定期借地権として貸し渡し、乙はこれを借り受ける。

【土地の表示】

所在:東京都○○区○○1丁目2番3

地目:宅地

地積:200.00㎡

第2条(契約期間)

本契約の期間は、令和7年1月8日から令和27年1月7日まで(20年間)とする。
本契約は更新しない。

第3条(地代)

地代は、月額40万円とする。
乙は、毎月末日限り、甲の指定する銀行口座に振り込む方法により支払う。

第4条(使用目的)

乙は、本土地をコンビニエンスストアの経営の目的に限り使用する。
甲の承諾なく、目的を変更してはならない。

第5条(建物の建築)

乙は、本土地上に建物を建築することができる。
建築に要する費用は、乙の負担とする。

第6条(契約終了時の建物の扱い)

契約期間満了時、乙は建物を解体し、更地にして甲に返還する。
解体に要する費用は、乙の負担とする。
乙が解体義務を履行しない場合、甲は自ら解体し、その費用を乙に請求できる。

第7条(権利の譲渡・転貸)

乙は、甲の書面による承諾なく、本契約上の権利を譲渡し、または本土地を転貸してはならない。

第8条(中途解約の禁止)

本契約は、期間中、甲乙いずれからも解約することができない。

第9条(公正証書の作成)

本契約は、公正証書により作成する。
公正証書作成に要する費用は、乙の負担とする。


本契約成立の証として、本書2通を作成し、甲乙各自1通を保有する。

令和7年1月8日

貸主(甲)

住所:東京都○○区○○1-2-3

氏名:山田太郎     ㊞

借主(乙)

住所:東京都○○区○○5-6-7

法人名:株式会社○○コンビニ

代表取締役:佐藤一郎  ㊞

重要ポイント:黄色マーカー部分

  • 期間を明記(更新なし)
  • 建物は解体して更地返還
  • 中途解約禁止

これが定期借地権の最重要ポイント。

ステップ5:公証役場で公正証書を作る

定期借地権は必ず公正証書で契約する(法律で決まってる)

普通の契約書じゃダメ。

フロー👇

【公正証書作成の流れ】

1
事前準備
契約内容を決める
司法書士が公正証書の案を作る
公証役場に予約(1週間前くらい)
2
必要書類を準備
・印鑑証明書(甲・乙)
・登記簿謄本(土地)
・本人確認書類
・実印
3
公証役場で契約
地主と事業者が公証役場に行く
公証人の前で契約内容を確認
両者が署名・押印
公正証書が完成
4
費用支払い
公正証書作成手数料:約5万円
(通常は借主が負担)

なんで公正証書が必要なの?

理由:

  • 法的効力が強い
  • 「更新できると思ってた」が通じない
  • トラブル防止

ステップ6:登記する(超重要)

誰がやる?

司法書士がやる。

何を登記する?

「定期借地権設定登記」を法務局で行う。

【登記の流れ】

1
司法書士が書類を準備
登記申請書、公正証書、印鑑証明など
2
法務局に申請
司法書士が法務局に行く(当事者は行かない)
3
登記完了(約1週間)
登記簿に定期借地権が記録される
4
費用
登録免許税:約2万円
司法書士報酬:5万円〜10万円
(通常は借主が負担)

登記簿に記録される内容

項目 内容
権利者 株式会社○○コンビニ
権利の種類 事業用定期借地権
期間 令和7年1月8日〜令和27年1月7日
地代 月額40万円
用途 コンビニエンスストア

なんで登記するの?

登記しないと:

  • 地主が土地を売ったら、新しい地主に対抗できない
  • 「この土地、俺が借りてる」って証明できない

登記すれば:

  • 第三者に対抗できる
  • 地主が変わっても、借地権は守られる

ステップ7:建物を建てる

登記が完了したら、コンビニを建設。

建設費用:約1億円

この1億円を20年で回収しないといけない。

だから、20年後に確実に閉店する。

契約満了までの完全フロー

ここが一番重要。

20年間のタイムライン👇

【20年間のタイムライン】

1年目
1月

【2025年1月】契約・登記・建設

  • 公正証書で契約締結
  • 定期借地権設定登記
  • 建物建設開始
  • 建設費用:1億円
1年目
6月

【2025年6月】オープン

  • コンビニ営業開始
  • 地代:月40万円を払い続ける
2〜17
年目

【2026年〜2042年】通常営業

  • コンビニ営業継続
  • 建設費を回収中
  • 地代を払い続ける
  • 特に何もなし
18年目

⚠️【2043年1月】契約満了まで2年

  • 地主から通知が来る
  • 「契約満了まであと2年です」
  • 「建物解体の準備をしてください」
  • 事業者:解体業者を探し始める
  • 解体費用の見積もり:約5,000万円
19年目

⚠️【2044年1月】契約満了まで1年

  • 閉店日を決定:2044年12月31日
  • 従業員に通知(退職・異動準備)
  • 解体業者と契約
  • 解体費用を積み立て開始
20年目
前半

⚠️【2044年6月】契約満了まで6ヶ月

  • お客様に閉店を告知
  • 店内に張り紙:「12月31日で閉店します」
  • 在庫を減らし始める
  • 新規発注を停止
20年目
年末

🚨【2044年12月31日】閉店

  • 営業終了
  • 設備を撤去
  • 在庫を処分
  • 従業員が退職・異動
  • 最後の地代を支払う
21年目
1月

🚨【2045年1月】契約満了・解体開始

  • 契約期間満了:2045年1月7日
  • 建物解体工事開始
  • 解体期間:約2ヶ月
  • 解体費用:約5,000万円(事業者負担)
21年目
3月

✅【2045年3月】更地返還・完了

  • 更地にして地主に返還
  • 司法書士が定期借地権抹消登記
  • 登記簿から定期借地権が消える
  • 地主:土地を自由に使える
  • (新しく貸すor自分で建物を建てる)

重要ポイント

  • 2年前から準備開始(これがないと間に合わない)
  • 閉店の1年前に告知(従業員・取引先への配慮)
  • 解体費用は最初から計画に入れておく

もし建物を解体しなかったら?

これ、実際にあるトラブル。

パターン1:お金がなくて解体できない

事業者「解体費用、5,000万円かかる。払えない」

地主「契約書に書いてあります。払ってください」

事業者「無理です」

どうなる?

①地主が訴訟を起こす

②裁判所が「解体しろ」と命令

③事業者が従わない

④地主が立て替えて解体

⑤地主→事業者に解体費用を請求

⑥事業者が払えない場合、差し押さえ

実際にあったケース

スーパーが定期借地権で営業。

契約満了で解体する必要があったけど、赤字で解体費用が払えない。

→ 地主が2億円を立て替えて解体

→ スーパーに請求したけど、倒産して回収できず

→ 地主が大損

こういうの、マジである。

パターン2:建物を残したい

事業者「建物、まだ使えるから残したい」

地主「ダメです。契約書に『更地で返す』って書いてあります」

事業者「もったいない」

地主「知りません」

→ 結局解体

パターン3:期間満了を忘れてた

事業者「え、もう契約満了?知らなかった」

地主「2年前に通知しました」

事業者「見てなかった」

地主「知りません。解体してください」

→ 慌てて解体

こういうのもあるらしい。

契約を延長したい場合

事業者「あと10年借りたい」

地主「ダメです。契約書に『更新しない』って書いてあります」

→ 延長できない

でも、再契約はできる

地主「新しい契約なら、月50万円で貸しますよ」

事業者「高すぎる。やめます」

→ 閉店

こういうケース、めちゃくちゃ多い

大江戸温泉物語も、クロスガーデン多摩も、これ。

大江戸温泉物語の実例(推定フロー)

契約内容(推定)

項目 内容
地主 東京都
借主 大江戸温泉物語
契約期間 2003年〜2021年(18年間)
地代 年間1億円以上(推定)
更新 なし(定期借地権)
建物 解体して更地返還

タイムライン

2003年: 定期借地権を設定、大江戸温泉物語オープン

2019年: 契約満了まであと2年、東京都から通知

2020年: 閉店を発表

2021年9月5日: 閉店

2021年9月〜11月: 建物を解体

2021年12月: 更地にして東京都に返還</div>

解体費用

推定:10億円以上

これを大江戸温泉物語が負担。

だから、最後の数年は利益を解体費用に回してた。

まとめ:地主が主導、期間満了で確実に返す

定期借地権、最初は「誰が何を決めるの?」って全然分からなかったんですけど、整理したらスッキリした。

ポイント👇

  1. 期間は交渉で決めるけど、地主が主導
  2. 必ず公正証書で契約
  3. 必ず登記する(司法書士がやる)
  4. 2年前から閉店準備
  5. 期間満了したら、建物を解体して更地で返す
  6. 延長はできない(再契約は可能)
  7. 解体費用は事業者が負担(数千万円〜数十億円)

宅建では暗記してるだけだったけど、「実務って、こうやって動いてるんだ」って知ると、めちゃくちゃ面白い。

大江戸温泉物語とかクロスガーデン多摩とか、ニュースで「定期借地権満了で閉店」って見たら、このフローを思い出してください。

最後まで読んでいただきありがとうございました!また来てくれると嬉しいです。

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