遺品整理してたら、遺言書が3通も出てきた。
しかも、内容が全部違う。
1通目:「長男に全財産」 2通目:「次男に全財産」
3通目:「長男と次男で半分ずつ」
「どれが本物?」って親戚中が大混乱。
結論から言うと、一番新しい日付の遺言書が有効。
古い遺言書は、自動的に撤回されたことになる。
これ、知らないと相続でめちゃくちゃ揉めますよね。
遺言書は何度でも書き換えられる
まず、大前提として。
遺言書って、何度でも書き直せる。
1回書いたら終わりじゃない。
「やっぱり考え直した」って思ったら、新しく書けばいい。
10回書き直しても、20回書き直しても、法律的には問題ない。
で、複数の遺言書がある場合、日付が新しいものが優先される。
これが民法のルール。
日付の新しい遺言書が有効
今回のケースだと:
1通目:2020年3月1日作成「長男に全財産」 2通目:2022年7月15日作成「次男に全財産」 3通目:2024年1月10日作成「長男と次男で半分ずつ」
この場合、3通目(2024年1月10日)が有効。
1通目と2通目は、自動的に撤回されたことになる。
日付が古い遺言書は、無効。
理由は、「最後の意思を尊重する」ため。
人の気持ちは変わる。
家族関係も変わる。
だから、一番最後に書かれた遺言書が、本当の気持ちだろうってこと。
部分的に矛盾してたら?
ちなみに、全部が撤回されるわけじゃない。
矛盾してる部分だけが撤回される。
例えば:
1通目:「実家は長男に」「預金は次男に」
2通目:「実家は次男に」
この場合、実家の部分は2通目が優先。
でも、預金の部分は1通目が有効。
2通目で預金について書いてないから、矛盾してない。
だから、1通目の「預金は次男に」は生きてる。
結果:
- 実家 → 次男(2通目)
- 預金 → 次男(1通目)
こんな感じで、矛盾してない部分は両方有効。
日付がないと無効
遺言書に日付がないと、完全に無効。
自筆証書遺言の場合、必ず日付を書かないといけない。
「令和6年1月吉日」みたいな曖昧な書き方もダメ。
「令和6年1月10日」って、具体的な日付が必要。
なんでかっていうと、さっきの話。
複数の遺言書があったときに、どれが新しいか判断できないから。
日付がないと、新旧の判断ができない。
だから、無効になる。
公正証書遺言なら安心
ちなみに、公正証書遺言なら、こういう混乱は起きにくい。
公正証書遺言は、公証役場で作る遺言書。
公証人が立ち会って、原本を公証役場で保管する。
だから、「何通も出てきた」ってことがない。
データベースで管理されてるから、最新のやつが一発で分かる。
自筆証書遺言は、自分で書いて、自分で保管するから、何通も残ってることがある。
しかも、どこに保管したか忘れて、死後に見つからないこともある。
公正証書遺言なら、そういう心配がない。
ただし、費用がかかる。
数万円〜数十万円(遺産額による)。
自筆証書遺言は、紙とペンがあればタダ。
この違い。
法務局保管制度もある
2020年から、自筆証書遺言の法務局保管制度も始まった。
自分で書いた遺言書を、法務局に預けられる。
費用は3,900円。
これなら、公正証書遺言より安い。
しかも、法務局で保管されるから、紛失の心配もない。
複数の遺言書が出てくる心配もない。
ただし、内容のチェックはしてくれない。
法務局は「形式的に保管するだけ」。
内容が法律的に有効かどうかは、自己責任。
公正証書遺言なら、公証人がチェックしてくれるから、その点は安心。
私の地元でもあった
地元の知り合いのおじいちゃん、遺言書を何度も書き直してたらしい。
認知症気味で、気分によって言うことがコロコロ変わる。
ある日は「長男が優しいから全部あげる」。
次の日は「長男が冷たいから次男にあげる」。
で、そのたびに遺言書を書き直してた。
結果、亡くなった後、遺言書が5通くらい出てきた。
全部、日付が違う。
内容もバラバラ。
家族は「どれが本物?」って大混乱。
でも、ルールは明確。
一番新しい日付のやつが有効。
それで決着した。
ただ、家族は納得してなかった。
「認知症だったから、最後の遺言書は無効じゃないの?」って。
遺言能力の問題
ここで問題になるのが、「遺言能力」。
遺言書を書くには、判断能力が必要。
認知症が進んでて、何も分からない状態で書いた遺言書は、無効になる可能性がある。
でも、これを証明するのが難しい。
遺言書を書いた時点の診断書とかがあればいいけど、普通はない。
家族が「認知症だったから無効だ」って主張しても、証拠がないと認められない。
結局、裁判になる。
時間もお金もかかる。
だから、生前にちゃんとした遺言書を、ちゃんとした状態で書いておくことが大事。
遺言書を見つけたらどうする?
もし、遺言書を見つけたら、勝手に開けちゃダメ。
自筆証書遺言は、家庭裁判所の「検認」が必要。
検認っていうのは、「この遺言書、確かにありましたよ」って証明する手続き。
内容が有効かどうかは、検認では判断しない。
ただの証拠保全。
でも、検認しないと、遺言書を使って相続手続きできない。
検認には、相続人全員に通知が行く。
だから、隠すこともできない。
勝手に開封したら、5万円以下の過料。
ちゃんと手続き踏まないとダメ。
ただし、公正証書遺言と法務局保管の自筆証書遺言は、検認不要。
すぐに使える。
複数の遺言書、どう防ぐ?
複数の遺言書が出てくるのを防ぐには:
① 公正証書遺言にする
公証役場で管理されるから、最新のやつが分かる。
② 法務局保管制度を使う
自筆証書遺言でも、法務局に預ければ安心。
③ 古い遺言書を処分する
新しい遺言書を書いたら、古いやつは破棄する。
でも、③は難しい。
どこに保管したか忘れてたら、処分できない。
だから、①か②が確実。
まとめ
遺言書が複数出てきたら、一番新しい日付のものが有効。
古い遺言書は、自動的に撤回されたことになる。
部分的に矛盾してる場合は、矛盾してる部分だけが撤回。
遺言書に日付がないと、完全に無効。
公正証書遺言なら、複数出てくる心配がない。
自筆証書遺言は、法務局保管制度を使うと安心。
認知症の場合、遺言能力が問題になることもある。
遺言書を見つけたら、勝手に開けずに家庭裁判所で検認。
知ってると、相続トラブルを避けられますよね。
※行政書士学習の内容をまとめたものです。間違いがあればご指摘ください。
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