ドラッグストアが5年で移転する理由、定期借地権10年の出店戦略だった

事業用定期借地権の仕組みについて解説するアイキャッチ画像

最近、地元のドラッグストア事情で気になることがあって。

数年前にできた店が、もう移転してるんですよ。

しかもまだ建物新しいのに。

「え、潰れたの?」って思ったら、500mくらい離れた場所に同じチェーンの新店舗がオープンしてた。

これ、定期借地権の戦略なんですよね。

ドラッグストアの出店ペース、異常に早い

ここ10年くらい、ドラッグストアの出店ラッシュすごくないですか?

駅前、住宅街、郊外、どこにでもある。

しかも同じエリアに複数店舗。

調べてみたら、大手チェーンは年間100店舗以上出店してるらしい。

でも、同じくらい閉店・移転もしてる。

これ、短期の定期借地権使ってるから可能な戦略。

定期借地権10年契約の仕組み

事業用定期借地権:10年以上50年未満

ドラッグストアが多く使うのは10〜15年契約。

10年契約の流れ:

  • 2015年:出店(10年契約)
  • 2015-2020年:営業(5年経過)
  • 売上チェック→「イマイチだな」
  • 2020-2025年:営業継続(満了待ち)
  • 2025年:契約満了→撤退
  • 同時期:近隣の好立地に新店舗オープン

土地を買ってないから、撤退も移転も簡単。

なんで10年という短期なのか?

普通、店舗って30年とか長期で考えるじゃないですか。

でもドラッグストアは違う。

10年契約のメリット:

1. 立地戦略の見直しサイクル

  • 10年で商圏が変わる
  • 新しい駅、マンション、道路
  • 人の流れが変化
  • → 柔軟に対応できる

2. 採算が取れない店の切り捨て

  • 出店時の予測と現実は違う
  • 5年で「ダメだな」と判断
  • 残り5年我慢して満了で撤退
  • 損切りが早い

3. 初期投資の回収期間

  • ドラッグストアの設備投資:3000万〜5000万円
  • 10年で回収する計画
  • 土地代がないから利益率高い

短期で区切ることで、リスク分散してる。

地主側のメリットもある

土地貸す側も、10年契約を好むケースがある。

地主の思惑:

1. 将来の自己利用を残せる

  • 「10年後、息子が起業するかも」
  • 「いずれ自分で店やりたい」
  • → 30年縛られたくない

2. 地代の見直しができる

  • 10年後、周辺の地価上がってる可能性
  • 再契約時に地代値上げ交渉
  • または別の事業者に高く貸せる

3. 再開発の可能性に備える

  • 駅前再開発とか、道路拡張とか
  • 長期契約だと身動き取れない
  • 10年なら柔軟に対応

Win-Winになりやすい期間設定。

実際の移転パターン

ケース1:より好立地に移転

  • 旧店舗:住宅街の中、徒歩5分
  • 新店舗:駅前、徒歩1分
  • 理由:「やっぱり駅前が強い」

ケース2:競合対策で移転

  • 旧店舗:ロードサイド
  • 近隣に大型競合店オープン
  • 新店舗:別の商圏に移転
  • 理由:「ここは諦めて、別エリア攻める」

ケース3:規模拡大で移転

  • 旧店舗:50坪
  • 新店舗:100坪
  • 理由:「商圏の需要、予想以上だった」
  • でも今の土地は拡張できない
  • → 広い土地に移転

「移転=失敗」じゃなくて、戦略的な判断。

建物はどうなる?

定期借地権の原則は「更地返還」。

でも、ドラッグストアの建物って、結構使い回しされてる。

パターン1:解体して更地

  • 建物を壊す
  • 地主に返す
  • 地主が別用途で活用

パターン2:別チェーンが居抜き

  • 建物はそのまま
  • 別のドラッグストアが使う
  • または別業態(コンビニ、飲食)

パターン3:地主が買い取り

  • 地主が建物を買う
  • 賃貸物件として活用
  • または自分で事業

「新しい建物なのに、すぐ解体」はもったいないから、居抜きが増えてる。

街で観察するポイント

1. 新店舗オープンしたら契約期間を予想

  • 駅前一等地 → 15〜20年?
  • 郊外ロードサイド → 10〜15年?
  • 住宅街 → 10年?

2. 建物の作りをチェック

  • プレハブっぽい → 短期前提
  • しっかりした建物 → 長期前提

3. 近隣の動向を見る

  • 新しいマンション建設中
  • 道路拡張計画
  • → 商圏が変わる予兆

4. 移転後の跡地

  • すぐ解体 → 地主が次を決めてる
  • しばらく放置 → 地主が迷ってる
  • 別業態オープン → 居抜き成功

観察すると、街の動きが読めて面白い。

チェーン展開の出店戦略

大手ドラッグストアの戦略、調べると面白いんですよ。

ステップ1:エリア制圧

  • 同じ商圏に複数店舗
  • 競合を潰す
  • 全部10年契約

ステップ2:選別

  • 5年後に売上評価
  • 良い店:継続
  • 悪い店:撤退準備

ステップ3:最適化

  • 10年満了で悪い店撤退
  • 良い店は再契約 or 買取
  • さらに好立地に新店舗

土地を持たないから、この戦略が可能。

地代の相場

気になるのが、地代いくらなのか。

調べた情報だと、こんな感じ。

ロードサイド(郊外):

  • 土地200坪
  • 月額地代:50万〜80万円
  • 年間:600万〜960万円

駅前(都市部):

  • 土地100坪
  • 月額地代:100万〜150万円
  • 年間:1200万〜1800万円

10年契約なら、地主は1億円前後の収入。

土地を持ってるって、やっぱりデカい。

まとめ

ドラッグストアが5年で移転する理由、定期借地権10年契約の戦略だった。

短期で区切ることで、立地の見直し、採算の悪い店の切り捨て、柔軟な出店が可能。

地主も10年なら将来の選択肢を残せる。

「新しいのに移転」は、失敗じゃなくて計算された戦略。

土地を持たない強みを活かした、賢いビジネスモデルだなって思いました。

街を歩いてると、「あ、ここ移転しそうだな」って予測できるようになる。

ではまた。


※この記事は宅建合格者・行政書士学習中の内容をまとめたものです。間違いがあればご指摘ください。

#宅建 #行政書士 #定期借地権 #ドラッグストア

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