店舗跡の造作買取請求で揉めた街角|借地借家法の実務現場

店舗跡の造作買取請求で揉めた街角|借地借家法の実務現場を解説する実務判例イメージ

繁華街の角に、突然シャッターが下りた店舗跡。

「居抜き○○万円」の看板が剥がれかけて、数ヶ月放置されてる。

こういうの、よく見かけません?

最初は「閉店したんだな」くらいに思ってたんですけど、宅建勉強してから見方が変わった。

あのシャッターの向こうで、めちゃくちゃ揉めてる可能性があるんです。

大家と前テナントが、「造作買取請求」を巡って攻防してる。

厨房設備、エアコン、看板、店舗棚…

「これ、誰が買い取るんだ?」「撤去費用、誰が払うんだ?」

借地借家法31条と賃借権の対抗要件が、街の運命を決めてる。

私、最近この手の店舗跡を見るたびに、「あ、これ揉めてるやつだ」って思うようになった。

造作買取請求のトラブル、本当に多いらしい。

契約書に「造作の扱い」が書いてないと、裁判沙汰になることも。

次に繁華街歩くとき、シャッター店舗を見かけたら、裏で動いてる法律のドラマを想像してみてください。

街が、全然違って見えるはずです。

造作買取請求権とは?基本ルール

まず、造作買取請求権って何か?

借地借家法33条(旧31条)で決まってる権利。

建物の賃貸借契約が終了したとき、賃借人は貸主に対して「造作を買い取ってくれ」って請求できる。

造作って何?

エアコン、厨房設備、店舗棚、看板、照明…

要は、テナントが自分で取り付けた設備。

ただし、賃貸人の承諾を得たものに限る

これが超重要。

勝手に取り付けた設備は、造作買取請求できない。

実務で一番揉めるのが、「承諾を得たかどうか」。

口頭で「いいよ」って言われただけだと、裁判で立証するのが難しい。

契約書に「厨房設備の設置を承諾する」って書いてないと、買取請求できないことが多い。

宅建士が契約書チェックするとき、この「造作の承諾」条項があるかどうか、必ず確認します。

表:造作判定基準

通常設備(買取請求✕)特注造作(買取請求◯)
蛍光灯厨房排煙ダクト
普通のトイレ店舗用特注棚
カーテンレール特注看板
壁紙防音壁
一般エアコン業務用冷蔵庫

ポイント

通常設備=どこでも使える汎用品 → 買取請求できない

特注造作=その店舗専用に作ったもの → 買取請求できる(承諾あれば)

この判断、実務でめちゃくちゃ揉める。

「うちの厨房設備、特注だから買い取ってくれ」って言っても、大家が「汎用品でしょ」って反論してくる。

最終的には、裁判所が判断することになる。

賃借権対抗要件|店舗跡で必ず聞く「誰が先に?」

造作買取請求、もう1つ厄介なのが「賃借権の対抗要件」。

実務でよくあるトラブルパターン:

1. テナント倒産→大家が即賃貸再開

飲食店が倒産して、夜逃げした。

大家は「空いたから次のテナント探そう」って思って、すぐに新しいテナントと契約。

新テナントが入居準備してたら、倒産したテナントが突然現れて「造作買い取ってください」って言ってくる。

2. 新テナント入居済み→旧テナントが造作買取請求

新テナントがもう営業開始してる。

そこに旧テナントが来て「厨房設備、俺のだから買い取れ」って言ってくる。

新テナントは「え、もう使ってるんですけど…」って困る。

借地借家法31条(対抗要件)

建物の賃借権は、登記なしでも第三者に対抗できる

これが超重要。

土地の賃借権(借地権)だと、登記しないと第三者に対抗できない。

でも、建物の賃借権(借家権)は、登記なしでも対抗できる。

だから、新テナントが入居してても、旧テナントの造作買取請求権は消えない。

街角で読む対抗要件

シャッター下りて3ヶ月放置 → 旧テナントの賃借権まだ存続してる可能性高い

新テナント入居済み → でも旧テナントが造作買取請求してきたら、新テナントが困る

これ、街歩いてるとよく見かけるパターン。

シャッター下りてるけど、なかなか次のテナントが入らない。

理由は、大家と旧テナントが造作買取請求で揉めてるから。

新テナント入れたくても、旧テナントの権利が残ってるから入れられない。

だから、数ヶ月放置されてる。

実務トラブル事例3選【店舗跡現場から】

実際のトラブル事例、見てみましょう。

判例から。

事例①:飲食店倒産後の厨房設備争奪戦

場所:新宿歌舞伎町
物件:焼肉店跡(100平米)
造作:厨房設備総額800万円相当(排煙ダクト、業務用冷蔵庫、グリル)

焼肉店が倒産して、夜逃げ。

大家は「厨房設備、撤去費用かかるから放置しよう」って思った。

新しいテナント(居酒屋)が「厨房設備そのまま使いたい」って言ってきて、即契約。

そしたら、倒産した焼肉店の元オーナーが突然現れて、「厨房設備、俺のだから買い取ってくれ。借地借家法33条で請求する」って言ってきた。

大家は「倒産したくせに何言ってんだ」って反論したけど、裁判所は元オーナーの主張を認めた。

判決:厨房設備の譲渡+300万円支払い命令

理由

  • 契約書に「厨房設備の設置を承諾する」って明記されてた
  • 倒産しても、造作買取請求権は消えない
  • 新テナントが使用中でも、旧テナントの権利は有効

大家は、新テナントに「厨房設備300万円で買い取ってくれ」って言ったけど、新テナントは拒否。

結局、大家が300万円払って、厨房設備の所有権を取得した。

教訓:倒産したテナントでも、造作買取請求権は残る。大家は甘く見ちゃダメ。

事例②:路面店看板の所有権バトル

場所:浅草雷門前
物件:土産物店
造作:特注看板(製作費200万円)

土産物店が閉店して、看板を残したまま退去。

大家は「看板、次のテナントも使えるし、そのままでいいか」って思った。

新しいテナント(飲食店)が入居したけど、「看板、俺のじゃないから外して」って言ってきた。

元テナントは「看板、200万円で買い取ってくれ」って請求。

大家は「契約書に『看板の設置を承諾する』なんて書いてないから、買取不要でしょ」って反論。

裁判所は、大家側の主張を認めた。

判決:賃借人敗訴 → 看板解体撤去

理由

  • 契約書に「看板の設置承諾」の記載なし
  • 口頭承諾の立証なし
  • 通常設備(看板)は造作に当たらない可能性

元テナントは、看板を自分で解体撤去することになった。

200万円の損失。

教訓:契約書に「造作の承諾」が書いてないと、買取請求できない。口頭承諾だけじゃダメ。

事例③:チェーン店撤退の原状回復免除が裏目

場所:渋谷
物件:コンビニ跡
造作:店舗設備一式(レジ、棚、冷蔵庫)

コンビニチェーンが撤退。

契約書に「原状回復免除+造作用設備は貸主が買い取る」って書いてあった。

大家は「設備、次のテナントも使えるから買い取らなくていいか」って思って、新テナント(ドラッグストア)と契約。

新テナントは「設備そのまま使えるから、初期費用ゼロで即入居できる」って喜んでた。

そしたら、元コンビニチェーンが「造作買取請求します。500万円払ってください」って言ってきた。

大家は「原状回復免除してやったんだから、造作買取請求なんてできないでしょ」って反論。

でも、契約書には「原状回復免除」と「造作買取請求権」は別って書いてあった。

三つ巴訴訟(元コンビニ vs 大家 vs 新テナント)になって、結局和解で250万円。

教訓:「原状回復免除」と「造作買取請求権」は別物。契約書の文言、超重要。

宅建士が現場で確認すべきチェックリスト

造作買取請求のトラブル、避けるためにチェックすべき項目。

私が実務でチェックしてるのは、この5つ。

【造作買取請求対応マニュアル】

□ 契約書の「造作承諾条項」確認

「賃借人が設置する造作については、賃貸人の書面による承諾を得ることとする」

この文言があるかどうか。

ない場合、造作買取請求できない可能性高い。

□ 造作の種類・金額リスト作成

契約時に、造作の種類と金額をリスト化しておく。

「厨房設備(排煙ダクト、業務用冷蔵庫) 800万円」みたいな感じ。

これがないと、後で「これは造作じゃない」って揉める。

□ 原状回復義務との関係整理

「原状回復免除」と「造作買取請求権」は別物。

契約書に、両方の扱いを明記する。

「原状回復義務を免除し、造作については賃貸人が買い取るものとする」みたいな。

□ 賃借権の対抗要件確認

新テナント入居前に、旧テナントの賃借権が消滅してるか確認。

旧テナントが「まだ賃借権残ってる」って主張してきたら、造作買取請求される可能性ある。

明け渡し完了の確認書を取っておく。

□ 立退料との相殺条項

更新拒絶で立退料払う場合、「立退料と造作買取請求権を相殺する」って条項を入れる。

そうしないと、立退料払った上に、造作買取請求もされる。

二重払いになる。

この5つ、全部チェックしておけば、トラブルはかなり減ります。

私が大家さんから相談受けるときは、この辺を最初に確認してます。

造作買取請求の時効と金額算定

造作買取請求、いつまでできるのか?

民法166条:消滅時効5年

契約終了時から5年間、造作買取請求権が残る。

だから、閉店して5年経ってないテナントは、いつでも請求してくる可能性ある。

街のシャッター店舗、閉店してから何年経ってるか確認すると面白い。

5年以上経ってたら、もう造作買取請求権は消滅してる。

逆に、閉店して1〜2年だと、まだ請求権が残ってる。

だから、新テナント入れる前に、旧テナントと和解しておく必要がある。

金額算定の実務

造作買取請求の金額、どうやって決めるか?

実務だと、3つの方法がある。

①取得価格ベース

造作の取得価格(購入時の金額)をベースに算定。

800万円で買った厨房設備なら、800万円請求する。

ただし、減価償却を考慮することが多い。

5年使ってたら、半額の400万円とか。

②時価ベース

中古市場での時価をベースに算定。

厨房設備の中古相場が300万円なら、300万円請求する。

これが一番現実的。

③再調達価格ベース

同じ設備を新品で買った場合の価格をベースに算定。

1000万円の新品設備なら、1000万円請求する。

ただし、裁判所はこの方法を認めないことが多い。

実務だと、②時価ベースが一番多い。

私が大家さんにアドバイスするときは、「中古市場の相場を調べてください」って言ってます。

ヤフオク、メルカリ、業務用設備の買取業者…

この辺で相場を調べて、それをベースに交渉する。

まとめ:街のシャッター店舗が語る法律ドラマ

繁華街のシャッター店舗、ただの「閉店した店」じゃない。

裏では、大家と旧テナントが造作買取請求で揉めてる。

借地借家法33条、賃借権の対抗要件、原状回復義務…

法律が絡み合って、数ヶ月放置されてる。

「あ、あのシャッター、造作買取請求で揉めてるな」とか、「新テナント入ったけど、旧テナントの権利残ってんじゃね?」とか。

法律が見えるようになる。

次に繁華街歩くとき、シャッター店舗を見かけたら、裏で動いてる法律のドラマを想像してみてください。

街が、全然違って見えるはずです。

宅建の造作買取請求、もっと詳しく知りたい人は、借地借家法の勉強をおすすめします。

過去問でも頻出だし、実務でも超重要。

街読みと法律、両方楽しめますよ。


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※この記事は宅建士(2024年合格)が行政書士の勉強とリサーチによりまとめた内容です。個別案件は弁護士・司法書士にご相談ください。

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