気になるととことん気になるので配偶者居住権の相続について調べました。
配偶者居住権は「相続税対策になる」って書いてあって、「え、どういうこと?」って思った。
家に住む権利が、なんで相続税と関係あるの?
最初、全然ピンと来なかった。
でも、仕組みを理解したら、「なるほど、これは使えるかも」って思った。
今日は、配偶者居住権がなんで相続税対策になるのか、分かったことをまとめてみます。
配偶者居住権って何だっけ?
まず、おさらい。
配偶者居住権っていうのは、亡くなった人の配偶者が、家に住み続けられる権利。
2020年にできた新しい制度。
配偶者短期居住権(最短6ヶ月)とは違って、こっちは終身で住める。
ただし、遺言で設定するか、遺産分割協議で決める必要がある。
ここまでは、前の記事で書いた通り。
で、今回のテーマは**「相続税対策」**。
なんで相続税が減るの?
配偶者居住権を使うと、相続税が減る。
なんでか。
家の価値を2つに分けるから。
これがポイント。
普通、家を相続するとき:
家の価値 = 3,000万円 → 配偶者が全部相続 → 3,000万円が相続財産
でも、配偶者居住権を使うと:
配偶者居住権 = 1,500万円 所有権(負担付き) = 1,500万円 → 配偶者が居住権、子どもが所有権 → それぞれ1,500万円ずつ
こうやって、家の価値を分割する。
「え、それだけ?」って思うかもしれないけど、これがめちゃくちゃ重要。
2次相続で効果が出る
配偶者居住権の真価は、2次相続で発揮される。
これ、教材読んでて「マジか」って思った。
【普通の相続】 1次相続:父親が死亡 → 母親が家を相続(3,000万円) 2次相続:母親が死亡 → 子どもが家を相続(3,000万円) → 2回とも、3,000万円が相続財産になる
【配偶者居住権を使った場合】 1次相続:父親が死亡 → 母親が居住権(1,500万円)、子どもが所有権(1,500万円) 2次相続:母親が死亡 → 居住権は消滅(相続財産ゼロ) → 2次相続で、相続税がかからない
これがヤバい。
配偶者居住権は、配偶者が死んだら消滅する。
だから、2次相続のとき、相続財産に含まれない。
具体例で見てみる
数字で見た方が分かりやすい。
【ケース1:普通に家を相続】
1次相続(父→母) 家:3,000万円 その他財産:2,000万円 合計:5,000万円 → 配偶者控除で相続税ゼロ(配偶者は1.6億円まで非課税)
2次相続(母→子) 家:3,000万円 その他財産:2,000万円 合計:5,000万円 → 相続税:約160万円(概算)
合計の相続税:約160万円
【ケース2:配偶者居住権を使う】
1次相続(父→母・子) 母:居住権 1,500万円+その他財産 2,000万円 = 3,500万円 子:所有権 1,500万円 → 配偶者控除で相続税ゼロ
2次相続(母→子) その他財産:2,000万円のみ (居住権は消滅するので、相続財産に含まれない) → 相続税:約50万円(概算)
合計の相続税:約50万円
差額:約110万円の節税
これ、すごくないですか?
どういう仕組み?
なんで配偶者居住権が消滅するのか。
これ、最初、意味が分からなかった。
でも、理由を知ったら納得した。
配偶者居住権っていうのは、配偶者本人しか使えない権利。
他人に譲渡できないし、相続もできない。
配偶者が死んだら、その時点で権利が消える。
で、所有権を持ってる人(たぶん子ども)が、完全な所有権を取り戻す。
でも、この「取り戻す」行為は、相続じゃない。
だから、相続税がかからない。
これが、配偶者居住権のトリック。
どんな家庭に向いてる?
配偶者居住権を使った相続税対策、全員に向いてるわけじゃない。
向いてるのは、こういう家庭:
【向いてる家庭】 自宅の価値が高い(3,000万円以上) その他の財産もそれなりにある 配偶者が高齢(2次相続が近い) 子どもが複数いる
【向いてない家庭】 自宅の価値が低い(1,000万円以下) 配偶者がまだ若い(2次相続まで時間がある) 相続財産が基礎控除以下
配偶者居住権は、2次相続で効果が出る制度。
だから、配偶者がまだ若くて、2次相続まで30年とかあるなら、あんまり意味ない。
むしろ、配偶者が70代、80代で、2次相続が近いうちに来そうな場合に効果的。
デメリットもある
配偶者居住権、良いことばかりじゃない。
デメリットもちゃんとある。
【デメリット1】小規模宅地等の特例が使えない 小規模宅地等の特例(自宅の評価が80%減額される制度)が、使えなくなる可能性がある。 これがデカい。
【デメリット2】売却しにくい 配偶者居住権がついた家、売るのがめちゃくちゃ難しい。 配偶者と所有者、両方の同意が必要。
【デメリット3】登記費用がかかる 配偶者居住権の登記、費用がかかる。 だいたい10万円〜20万円くらい。
【デメリット4】トラブルの元になる可能性 配偶者と子どもの関係が悪いと、揉める。 「リフォームしたい」「売りたい」でトラブルになるケースがある。
節税できても、家族関係がギスギスしたら意味ない。
実際に使われてるの?
配偶者居住権、2020年にできた新しい制度。
まだ5年しか経ってない。
実際にどれくらい使われてるのか、統計データは見つからなかった。
ただ、相続税対策のセミナーとかでは、よく紹介されてるらしい。
税理士さんとか司法書士さんが、「こういう制度ありますよ」って勧めてるみたい。
ただ、デメリットもあるから、万能じゃない。
どうやって設定するの?
配偶者居住権を設定する方法は、2つ。
【方法1】遺言に書く 「妻に配偶者居住権を与える」って遺言に書いておく。 これが一番確実。
【方法2】遺産分割協議で決める 遺言がなくても、相続人全員で話し合って決められる。 ただし、全員の同意が必要。
どっちにしても、司法書士とか行政書士に相談した方がいい。
配偶者居住権の登記も必要だし、素人だけでやるのは難しい。
街で見かける「古い家」も…
地元に、めちゃくちゃ古い家があるんですよね。
築50年とか、普通にある。
「なんで建て替えないんだろう?」って思ってたんですけど、もしかしたら配偶者居住権がらみかもしれない。
配偶者居住権がついてると、建て替えもリフォームも簡単にはできない。
所有者と配偶者、両方の同意が必要だから。
こういう事情で、古い家が残ってるケースもあるのかな、って思った。
まとめ:使えるけど、万能じゃない
配偶者居住権、相続税対策として使える。
特に、2次相続で効果が出る。
でも、デメリットもある:
小規模宅地等の特例が使えなくなる可能性 売却しにくい 登記費用がかかる トラブルの元になる可能性
だから、「絶対に使うべき」ってわけじゃない。
家庭の状況によって、使った方がいい場合と、使わない方がいい場合がある。
ちゃんと専門家に相談して、シミュレーションしてから決めた方がいい。
「配偶者居住権、なんか良さそう」だけで飛びつくと、後悔するかも。
相続税対策って、本当に奥が深い。
※この記事は行政書士学習中の内容をまとめたものです。間違いがあればご指摘ください


コメント