最近、地元を歩いてて気になることがあります。
古い住宅地のど真ん中に、一軒だけポツンと他の家に囲まれてる家ってあるじゃないですか。
「あれ、なんでこんな場所に?」と思ってたんですけど、宅建の勉強を通して理由が分かりました。
昔は「一筆の土地」だったものが、相続のたびに分割されて、気づいたら隣の土地に囲まれちゃった状況ですよね。
最初は「へー、そういうのあるんだ」って思ってたんですけど、相続で発生するトラブルがマジで深刻らしい。
今日は、その「囲繞地」(いにょうち)について、街で見える問題を解説します。
囲繞地って何?袋地との関係は?
地元を歩いてると、たまに変な配置の家を見ます。
周りを他の家に完全に囲まれてて、道路に面してない。
「公道に出るのに、隣の敷地を通らないといけない」みたいな状態。
これが「袋地」(ふくろち)です。
で、その袋地を囲んでる周りの土地が「囲繞地」(いにょうち)。
まず前提として、
袋地 = 囲まれて外に出られない土地
囲繞地 = 囲んでいる周りの土地
この関係をおさえておいてください。
袋地と囲繞地の違い
| 用語 | 説明 | 例 |
|---|---|---|
| 袋地 | 公道に接していない土地。他の土地に囲まれてる | 毎日隣の敷地を通らないと出られない |
| 囲繞地 | 袋地を取り囲んでる土地。袋地の人が通路として使う | 隣の敷地。毎日、隣の人が通ってくる |
| 準袋地 | 川・崖・海などで公道に出られない土地 | 川を挟んだ向こう側の家とか |
これ、相続で初めて気づく人、超多いらしいです。
「親の実家を相続したら、隣の敷地を通さないと出られない土地だった」
みたいなトラブルが、結構あるんですよ。
なんでこんなことになるの? → 相続で何度も分割されたから
これ、根本的な理由があります。
祖父母の代の大きな土地が、相続のたびに「公平に分割」されたとします。
例えば:
ケース例
100年前:祖父が大きな土地を所有(200㎡)
50年前:相続で5人で分割 → 各40㎡
20年前:また相続で分割 → さらに細分化
今:あなたが相続 → 気づいたら囲まれてる😱
つまり、「親が大事だと思って公平に分割する」→「その結果、子どもの代では使い物にならない土地になってた」という、相続あるあるですよ。
これ、全国で本当に起きまくってるんですよ。
- 親の代では敷地が広い
- 公平に分ける
- でもそれを2世代繰り返すと「脱出不可能」になる
という”相続で詰むパターン”。
囲繞地通行権 = 隣の敷地を通る権利【民法210条】
で、ここからが大事。
袋地に住んでる人は、囲繞地を通る権利があります。
これが「囲繞地通行権」って言うやつで、民法210条で定められてます。
つまり、隣の敷地の所有者が「通るな!」って言っても、法律で拒否できないってことですよ。
「毎日、他人が自分の敷地を通ってくるのに、止められない」
← これ、買い手からしたら最悪ですよね。
でも法律で認められてるから仕方ない。
囲繞地通行権の細かいルール
宅建で習う「細かいルール」があります。
通行権の基本ルール
| ルール | 内容 | なぜ? |
|---|---|---|
| 通路の場所 | 囲繞地の人に最も損害が少ない場所 | 建物から遠い、空いてる場所を選ぶ |
| 通路の幅 | 必要最小限(だいたい1m以下) | 人が1人通れればOK。車は無理 |
| 通行料 | 原則として支払う必要あり | 囲繞地の所有者の損害補償 |
| 支払い | 原則1年ごと(金額は要相談) | いくら?は法律に決まってない😱 |
宅建では、「必要最小限の幅」と「囲繞地の損害が最も少ない場所」のセットで覚えるのが鉄則です。
特に「通行料の金額が決まってない」ってとこが厄介なんですよ。
隣同士で「今年から年5万円な」「いや、10万円だ」みたいなトラブルが起きやすい。
例外:土地分割が原因なら通行料は無料
ここが大事。
もともと1つの土地だったのが、分割されて袋地になったケースは、無償で通行できます。
民法213条で定められてる。
でも、これは「分割したときのままの土地」を通るときだけ。
後で他人に売却されたら、話は変わります。
囲繞地を相続したら、何が起きるのか?
これが相続で起きるトラブル。
マジで深刻です。
囲繞地の相続がやばいのは、「隣の所有者が変わると、関係性がゼロからスタート」になる点です。
パターン1:隣の地主が変わってから、関係が悪化した
例えば:
実例:Aさんの話
「父さんの時代は、隣のおじさんが地主だった。
『うちの敷地を通ってくれ。無遠慮に使ってくれ』って言ってくれてた。
でも、父さんが亡くなって私が相続したら、
隣のおじさんも亡くなってて、隣の息子に変わってた。
その息子は『お前ら、勝手に敷地使うな。
今月から通行料、月3万払え』って言ってきた。
30年、無料で使ってたから、急に月3万は無理…😭」
これ、実際に起きてるんですよ。
相続のタイミングで「隣の地主が変わる」→「新しい地主は厳しい」→「通行料巡ってトラブル」
という流れ。
パターン2:通行料の金額を決める話し合いで決裂
民法121条では「通行料を払え」って書いてるけど、金額は書いてない。
だから当事者同士で話し合い。
通行料をめぐるトラブル例
| 立場 | 主張 | 結果 |
|---|---|---|
| 袋地の所有者 | 隣の土地だし、年5万円でいいですか? | 決裂 → 調停 → 裁判 |
| 囲繞地の所有者 | 駐車場なら年50万円の価値。最低20万円 |
こんなことになったら、最終的には裁判ですよ。
隣の敷地を通る権利があるのに、売却できない矛盾
ここが不動産の不思議なところ。
袋地の人は通行権がある ← 権利としては強そう
でも 買い手がつかない ← 売却は超困難
なんで?
理由1:防犯面が不安
他人が毎日、敷地を通るわけですよ。
買い手からしたら:
「毎日、見ず知らずの人が敷地を通り抜ける?ちょっと…」
って思うのは当然。
プライバシーも守れないし、防犯も悪い。
理由2:隣の地主との関係が運命
最悪のケース:
「隣の地主が変わったら、通行を制限された」
「通行料が急に上がった」
「将来、隣が売却されたら、買った人にも文句言われるかも」
こういう不安が買い手を遠ざける。
理由3:建て替えができない可能性
囲繞地通行権の通路幅は「必要最小限」(だいたい1m以下)。
建築基準法では接道義務として「4m以上の道路に2m以上接道」が必要。つまり:
囲繞地通行権 ≠ 建築基準法の接道要件を満たす ← これが超大事!<h3>囲繞地通行権と建築基準法の違い
| 項目 | 囲繞地通行権 | 建築基準法 |
|---|---|---|
| 通路幅 | 必要最小限(約1m以下) | 最低2m以上必要 |
| 通行可能 | 人・自転車のみ | 車・緊急車両も想定 |
| 建築許可 | 建て替え不可 | 建て替え可能 |
つまり、囲繞地通行権は”生活のために通れる”だけで、建物は建て替えられない。
このギャップが価格を大きく下げる原因になります。
建築基準法43条では、囲繞地通行権では接道義務を満たさないって判例が出てます。つまり、相続した家が古くなっても、新しく建て替えができない可能性がある。
最悪のシナリオ
- 実家を相続した
- 囲繞地通行権で通行できるのはOK
- でも、家が古いので建て替えたい
- 建築確認申請が下りない(接道要件不足)
- 建て替え不可。古いまま住むしかない😭
囲繞地の相続トラブルを防ぐ方法は?
では、どうするか?
相続する前に考えておいた方がいいことがあります。
方法1:通路部分を買収する(王道・最強)
一番シンプルで、一番確実。
囲繞地の所有者に「通路の部分を売ってくれ」って申し込む。
そしたら「旗竿地」になります。
袋地と旗竿地の違い
| 土地タイプ | 説明 | 利点 |
|---|---|---|
| 袋地 | 公道に接してない | なし(売却困難) |
| 旗竿地 | 細い通路で道路に接してる | 再建築可能。売却しやすい |
買収できれば、その瞬間に**袋地 → 旗竿地(はたざおち)**に変わります。
旗竿地は「道路に2m以上接している扱い」になるので、建築基準法も満たして建て替えも可能。
ただし現実には…
隣が売ってくれない、値段ふっかけてくる(数百万要求されることも)、相続で兄弟間の共有になってて話が進まない、みたいな障害で詰まることが多いです。
方法2:通行地役権を設定しておく(法務局で登記)
もし隣と関係が良好なら、**通行地役権(つうこう ちえきけん)**を設定して登記するのも手。
地役権は、次の所有者にも自動で引き継がれる「強い権利」。
つまり、隣のオーナーが変わっても文句言われない、通行料も契約で固定できる(年○万円など)、売却するときも安心材料になる。
ただし、これも隣が同意しないと設定できない。
結局のところ、「隣との関係」がすべて。
方法3:建築基準法43条の”但し書き申請”を狙う(裏技)
袋地でも一応、建物を建て替えられる可能性はあります。
建築基準法43条の但し書きで、「安全上支障がなければ、例外的に建築を許す」という運用がある。ただし自治体によって厳しさが全然違う。
A市はほぼOK、B市はほぼ無理、C市は過去実績あればOK、みたいにバラバラ。
専門家(行政書士・建築士)に相談しないと難しいやつ。
方法4:隣地と”土地交換”する(レアだけど成功したら最強)
これはレアケースだけど、成功すると最強。
通路として使っている部分と、袋地の一部を交換して、結果として道路に接する形にしてしまう方法。
隣の家の形状や利用状況が合えば成立する。
ただし普通はこんな条件揃わないので、成功率は低め。
方法5:相続放棄 or 不動産を共有しない(トラブル予防)
相続ならではの注意点。
袋地を兄弟で共有、囲繞地側も相続で複数人の共有、こうなると、もう終わり。
誰が通行料を管理するのか、誰と交渉するのか、話が進まない。
相続前なら、誰がその土地を相続するのか明確にする、必要なら相続放棄を検討する、遺言で処理する、こういう準備しておくのが本当に大事。
相続放棄については裁判所のウェブサイトで詳しく解説されてます。街を歩くと見える「囲繞地の悲劇」
地元を歩いてて思うこと。
古い住宅地に、「誰も住んでなさそうな家」、よく見ません?
塀で囲まれて、昼間でも人気がない家。
あれ、たぶん「囲繞地通行権のある袋地」なんですよ。
相続したけど、売却できない → 賃貸もしたくない → そのまま放置
みたいな感じで。
街歩きチェックポイント
□ 他の家に完全に囲まれてる家がある?
□ 古い家なのに、人が住んでないように見える?
□ 隣の敷地を通らないと出られそう?
→ 多分、これが「袋地」です。
相続する前に、必ず調べておこう
もし親の実家が「囲繞地かもしれない」と気づいたら:
登記簿を取得する
法務局で「○○市△△地」の登記簿謄本をもらう。「囲繞地通行権」って書いてないか確認。費用は600円くらい。図面を見る
土地が本当に公道に面していないか確認。囲まれた形になってないか。
隣の地主に聞く
「いずれ相続するので、通行について教えてください」って感じで、通行料の相場を聞く。
早めに専門家に相談
不動産会社 or 弁護士 or 司法書士。通路部分の購入価格を聞く。
まとめ:袋地は持ってるだけでリスク。相続前から対策必須。
囲繞地通行権って、すごく大事な権利なんですよ。
なぜって、昔は親族同士の信頼で成り立ってた土地利用が、相続で「他人」になるから。
隣の地主が変わったら、関係が一変する。
袋地・囲繞地問題は、表から見るとただの「変な土地」。
でも、相続した瞬間に一気に現実味を帯びる。
出入りはできる(囲繞地通行権)、でも建て替えできない、売れない、隣の人次第で生活が左右される、通行料で揉める、建築基準法の接道要件も満たさない。
こういう、権利は強いのに生活は不自由っていう矛盾だらけの土地。
この記事で書いたように、通路買収、地役権設定、但し書き申請、相続対策、どれかを早めにやらないと、将来的に本気で詰む。
特に相続は、「親が元気なうちに確認しとけばよかった…」と後悔する人が多すぎる。
だから、相続する前に「自分の実家は本当に大丈夫?」って確認しておくのが重要。
「まあ、大丈夫だろ」って思ってると、相続後に「あ、囲繞地だ。売却できない。どうしよう」ってなります。
宅建勉強してて良かった点は、こういう「日常の不便」の理由が分かること。
街を歩いてると、「あ、この家も袋地だな」「この土地、相続でトラブル起きてそう」って見える。
あなたの親の実家は大丈夫ですか?
※この記事は宅建合格者・行政書士勉強中の内容をまとめたものです。個別の物件については不動産会社や司法書士にご相談ください。
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