駅から徒歩3分の一等地。
周りはビルとかマンションばかり。
なのに、そこだけ月極駐車場。
しかも、もう10年以上そのまま。
「もったいなくない?」って、ずっと思ってた。
マンション建てたら絶対儲かりそうなのに。
売ったら億単位で売れそうなのに。
で、宅建勉強してて理由が分かった。
地主の戦略だったんです。
今日は「一等地が駐車場のまま」の理由を書きます📚
なんで駐車場にするの?
まず、なんで駐車場なのか。
答え:暫定利用
「とりあえず今は駐車場」っていう感じ。
将来的には別の用途で使う予定だけど、
今すぐは決まってない。
だから、とりあえず駐車場にして地代稼ぐ。
これが地主の基本戦略。
普通借地権が怖い
ここが超重要。
地主が土地を貸すとき、
普通借地権で貸すと、最低30年契約になる。
しかも、更新拒絶が超難しい。
実質、半永久的に返ってこないと思った方がいい。
これが地主にとって最大のリスク。
「息子が30歳になったら使わせたい」
「孫が起業するときに使わせたい」
「10年後に自分でマンション建てたい」
こういう計画があるなら、
普通借地権で貸すのは怖すぎる。
定期借地権なら安心だけど…
じゃあ定期借地権で貸せばいいじゃん、って思うけど。
借り手が見つからない問題。
定期借地権って、借主にとってはリスクがある。
「30年後に絶対出ていかないといけない」
「建物も壊さないといけない」
だから、定期借地権の土地を借りたい人って意外と少ない。
特に個人は嫌がる。
マイホーム建てるのに、30年後に立ち退きとか嫌じゃないですか。
事業者(コンビニとか)なら借りるけど、
一等地だと地代が高すぎて事業者も手を出さない。
結果、借り手が見つからない。
だから駐車場
駐車場なら、超楽。
メリット5つ。
① すぐ始められる
土地を舗装して、ライン引いて、看板立てるだけ。
1ヶ月もあれば開始できる。
② いつでもやめられる
「来月からマンション建てる」って決まったら、
利用者に告知して終了。
3ヶ月くらいで更地に戻せる。
③ 初期投資が少ない
マンション建てるなら数億円かかる。
駐車場なら100万円くらい。
④ リスクが低い
建物建てたら、空室リスクとか修繕とか色々ある。
駐車場なら、ほぼノーリスク。
⑤ 固定資産税は払わないといけないけど
駐車場にしても、固定資産税は減らない。
(住宅用地なら80%減額されるけど、駐車場は対象外)
でも、月極で貸せば固定資産税分くらいは稼げる。
実際、儲かるの?
正直、めちゃくちゃ儲かるわけじゃない。
例:駅前100㎡の土地
マンション建てた場合
- 建築費:5,000万円
- 家賃収入:月50万円(年600万円)
- でも、ローン返済・管理費・修繕費で手残り少ない
- しかも30年以上売却・建て替えできない(借地借家法の制約)
駐車場にした場合
- 初期費用:100万円
- 駐車場代:1台月2万円×10台=月20万円(年240万円)
- ほぼ手残り
- いつでもやめられる
比較すると:
- マンション:儲かるけど身動き取れない
- 駐車場:そこそこ儲かるし自由度高い
地主が「将来的に自分で何か建てたい」と思ってるなら、
駐車場の方が合理的。
地主は何を待ってるの?
じゃあ、地主は何を待ってるのか。
パターンはいくつかある。
① 相続税の納税資金
「親が亡くなったら相続税がかかる」
「そのとき、この土地を売って納税する」
だから、今は売らない。
駐車場で固定資産税分だけ稼ぎながら待つ。
② 子供・孫の将来
「息子が30歳になったら、ここで店やらせたい」
「孫が起業するときに使わせたい」
あと10年、20年先の計画。
だから今は駐車場。
③ 再開発を待ってる
「この辺、再開発の話があるらしい」
「そうなったら土地の価値が2倍になる」
だから今は売らない。
再開発まで駐車場で待つ。
④ 税金対策
土地を売ったら譲渡所得税がかかる。
タイミング悪いと、税金で半分持ってかれる。
だから、税制改正を待ってるとか。
地元でも似たケースあった
駅前のコインパーキング、ずっとあるなって思ってたら、
去年突然、マンション建設が始まった。
たぶん、地主の子供が結婚とか、何かタイミングが来たんだと思う。
「よし、そろそろ建てよう」って。
駐車場って、そういう「待機状態」なんですよね。
地主の心理を想像してみる
もし自分が地主だったら、って考えると分かる。
2015年:親から土地を相続
「駅前の一等地、価値2億円か」
「固定資産税、年間500万円…高っ」
「とりあえず駐車場にしよう」
2018年(3年後)
「駐車場収入、年間240万円」
「固定資産税500万円払って、赤字260万円」
「でも、売りたくないし」
「マンション建てるのも怖いし」
2022年(7年後)
「息子がそろそろ大学卒業」
「将来、ここで何かやるかも」
「だから売らない。駐車場継続」
2025年(10年後)
「息子、会社員になった」
「あと5年くらいで独立するかも」
「もう少し駐車場で待とう」
こうやって10年、20年が過ぎていく。
地主からすると、「待つ」のが一番安全なんですよね。
売ればいいじゃん、って思うけど
「2億円で売ればいいじゃん」って思うけど、
地主にとっては、そう簡単じゃない。
理由3つ。
① 先祖代々の土地
「おじいちゃんから受け継いだ土地」
「簡単に売れない」
っていう感情的な問題。
② 譲渡所得税が高い
2億円で売っても、税金で7,000万円〜8,000万円持ってかれる。
手残り1.2億円くらい。
「それなら持っておく方がいい」って判断。
③ 売ったら終わり
土地を売ったら、もうそれで終わり。
でも持ってれば、駐車場収入が続く。
年間240万円×30年=7,200万円。
売るより持ってる方が得かもって計算。
他にもある「待機状態」の土地
駅前の空き地とか、
更地のまま何年もそのまま、とか。
これも同じ理由。
地主が「今は何もしない」って決めてる。
コインパーキング
- 一番多いパターン
- 収益も出るし、いつでもやめられる
草ぼうぼうの空き地
- 相続トラブル中
- または地主が高齢で判断できない
資材置き場
- 一時的に貸してる
- これも暫定利用
街を見る目が変わる
一等地の駐車場、
「もったいない」じゃなくて、
「地主の戦略なんだな」って分かるようになった。
見るポイント:
「月極駐車場」か「コインパーキング」か
- 月極:地主が自分で運営
- コイン:業者に貸してる
「何年そのままか」
- 5年以内:様子見
- 10年以上:長期戦略
「周りの開発状況」
- 周りが再開発されてる
- →地主も動き出すかも
駅前じゃなくても同じ
これ、駅前だけじゃなくて、
住宅街の空き地とかも同じ。
「あの土地、ずっと空き地だな」
→ 地主が何か待ってる
「売ればいいのに」
→ 地主には地主の事情がある
宅建の知識があると、
街の風景の「裏側」が見えてくる。
※この記事は宅建学習中の内容をまとめたものです。間違いがあればご指摘ください。
#宅建 #不動産 #街歩き
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